TV番組に出演していたプロレスラーの木村花さんがなくなったという報道。
リアリティ・ショー番組だったため、演出に煽られた視聴者が、ご本人のSNSにかなり厳しい投稿をしていたようで、それが直接的なのか間接的なのかは定かではありませんが、命を絶たれたということでした。
最初、木村花という名前を聞いてもピンときませんでしたが、お母様の名前「木村響子」と来て、「えっ!?」と思った私。お母様もプロレスラーで、かなり活躍をされた選手。私も何度か試合を観たことがあります。男性に混じって激しい試合をしていたこともあります。その娘さんだったのか……と。
私も長年のプロレスファン。そして若者たちとお付き合いする仕事に就いて30年以上。未来のある若い人がこうしてこの世を去るのは見てられません。
心よりご冥福をお祈りします。
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プロレスは非常に観る者の感性と知性を問われるスポーツだと思います。
つまり、フィクションとノンフィクションの狭間を楽しむスポーツなのです。
一時期、プロレスを「八百長だ」「インチキだ」という風潮が高まったことがあります。そしてその対抗として「K-1グランプリ」や「アルティメット」などが出てきたのですが、あれはガチンコで戦ってどっちが強いかという大会。それもまさにリアリティ・ショーとしては成立するのでしょう。
しかし、プロレスは全く別次元のショー・スポーツです。
壮大なストーリーがあって ドラマがあって、そして熱くなる、共感する、そして一体化する、そんなスポーツなのです。台本がある程度あって、全体的な流れがある。ここでこの人が勝たなきゃお話が成立しない…というのもあるし、ココで負けて次の展開がどうなるのか… to be continued… そういうものを楽しむのです。
時には、「投げられてる?」「位置直してる?」ってこともあります(笑)もちろんありますよ、安全に気を付けて試合をしなければなりませんし、常に怪我との戦いでもあるし、何より激しい試合の翌日にも別会場で同様の試合をしなければならないわけですからね。
だから、「あれ、本当なんですか?」「試合の勝ち負けは決まってるんですか?」という質問には、「さぁ、そこは見る方がどう捉えるかですね?」「ご想像にお任せします!」って答えるのが正解なのです。
私は大仁田厚の試合が好きでした。若い頃、彼の試合は随分追いかけたものです。
マイクパフォーマンスに熱くなったり、電流爆破マッチに息を呑んだり、最後には大仁田コールをして、高揚感を味わう… いいチケット代だったな!と清々しい気持ちで、また高揚感を持って酒場に行き、いつまでもいつまでも語り合う…(笑) アホでしたけど楽しかったし、興行というものやモノの見せ方、ストーリー仕立てでお客さんを掴む方法など、本当にいろんなことを知りました。それを語り合っていたりすることが、今の仕事にも役立っている部分があるんだろうなぁと思います。
プロレスが深夜枠になったり、放送が有料放送になったりして久しくなります。ゴールデンタイムからはプロレスというものは消え、今や地上波にもほとんど登場しないものになりました。わずかに、新日本プロレスが人気を保っているようで、塾生にも「プ女子」が何人かいます(笑)
でも、私は世間でも「プロレス」って大事だと思っています。
「落とし所」があって、「予定調和」があって成り立つものは、この世の中多いものです。「お約束」「儀式」なんていうのも、その部類でしょう? 意味があるとか無いとか、いきり立って主張する人もいますが、「そういうものじゃないよ」ということは多々あるのです。それをインチキだ、八百長だと言うなら、それはかなり世の中というものを理解できていない甘ちゃんである気がします。
むしろ、「プロレスを理解する力」は非常に重要だと思うのです。
TV番組など、ほとんどが「プロレス」じゃないですか。台本があって、演技があって、ストーリー仕立てになっていて、そこへ感情移入したりする。それがTV。
TV番組に熱くなるのは結構。でもそれがフィクションなのか、ノンフィクションなのかは見るほうがきちんと判断しなければいけないのですね。分かっていて見る、分かっていて泣く。それが何より大事なのです。
「TVの出演者がムカつく」というのであれば、殺人犯役の役者など何度炎上せねばならないのでしょうか? 主人公をいじめる役の役者さんは、どれほど誹謗中傷されなければならないのでしょうか?
コレこそがメディアリテラシーの問題。TVのストーリーと演技(であろう)にイラつき、出演者のSNSに罵詈雑言を書き込むなど、ちょっと大丈夫かなぁ?と思ってしまうレベルの話。それも「プロレス」であるならいいのかもしれませんが、度が過ぎれば犯罪。芸能人をリアルにストーキングしたら捕まりますよね。同じく、「言論の自由」の名を騙って誹謗中傷すれば、やはりそれは犯罪になるのです。
小学生のテキストにも書いてあるので、みなさんもう一度よく復習したほうがいいと思うことがあります。それは、憲法で保証されている「自由」について。
「自由」には、全て「公共の福祉に反しない限り」という但し書きが付いているものです。身勝手な自由を主張し、他の人や社会に害悪を及ぼす「自由」はありません。これを知らないで自由を主張する、明らかに勉強が足りない方が世間にはいます。小学生でも知っている「自由」というものの性質を理解せず、身勝手を自由であると履き違えてはいけません。
プロレスを理解できない人間は非常に危険だと思うのです。
だからみんな、プロレスを見て、よく勉強するように…というのは言い過ぎか。
でも、プロレスというものをもう一度見直す機会かもしれませんね。そしてTV番組が「プロレス」であることも、もう一度改めて認識するべきことかもしれません。TVで流されていることが、ドラマやバラエティはおろか、ワイドショーや報道すら100%の真実ではないということも認識すべきでしょうね。
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