バッタを倒しにアフリカへ

image最近は、なかなかゆっくり本を読む時間もなく、またその心の余裕もないことが多くて、仕事に関係する本ばかりを読み漁る日々。仕事上のヒントを一つでも手に入れたくて読む、いわゆる「勉強」の本が大多数を占めています。

ところが、先日、千駄木の往来堂書店に立ち寄りました。あの書店は本当に素晴らしい書店で、行けば必ず1冊は「絶対読みたい!」と思う本に巡り会います。それは仕事の本でも、そして私の読書欲をくすぐる本でも。そして今回巡り合ったのがこれ。

「バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郎/光文社新書)

いやはや。久しぶりに夢中になって新書を読みました。
この緑色のバッタの格好をしたオジサン(すみません、若者だ!)、それにこのタイトル。最近の新書はタイトルだけが一人歩きする傾向があって、面白そうだと思ってタイトル買いすると、結構中身が難しかったり、意外に面白くなかったりして、途中で読むのをやめてしまうものもありました。

ちょっと脇道に逸れますが、本が嫌いだったり、読書をあまりしない子・人のほとんどは、とても真面目な人間で、買った本を最後まで読まないといけないのではないかという義務感にかられます。最後まで読めなかった罪悪感で、以降本を読まなくなる。これは一番良くない、悪循環ですね。

つまらない本は、本が悪いんです(笑)
だから、とっとと読むのをやめて、他の面白い本を読んだ方がいいのです。いつまでもつまらない本に付き合っている時間はありません。人生の時間の無駄。私の本棚にも、20Pくらい読んで「失敗した!」と思って放ってある本はいくつもあります。

面白い本は、この本のように居ても立っても居られないほど読みたくて仕方なくなりますし、夢中になって読んでしまうものです。この本を買ってきて、読み始めたが最後、とにかく面白くて風呂の中にまで持ち込み、久々にベッドサイドに明かりをつけて読み、公休日には「今日中に必ず読破する」と決めて家を出て、カフェでひたすら読む1日。いや、本当に面白かった。

感動的ですらあったのは、やはり本当に自分のやりたいことを貫いているところ。貧乏でもいい、先が見えなくてもいい、とにかく好きなこと、やりたいことをやり抜くという「若いから出来ること」を見事に体現している著者の成長・成功は、読んでいて胸が熱くなりました。子どもの頃に「昆虫学者になりたい」と言った、それを叶えているというのは素晴らしいことです。私も数多くの「昆虫学者」「漫画家」「教師」の卵に出会ってきましたが、残念ながらそれを現実のものにしている人は数少ないものです。

もちろん、現実というものはあります。全員が夢を叶えられるものではありませんが、妙にもの分かりが良くなって、妙に大人になってしまって、実は一番大切な「一生懸命に、夢を諦めずに、頑張る」ということを諦めてしまっている子が多いなぁと思うのは、私が歳をとったからなのかもしれません(笑)

私も30歳までは見果てぬ夢を追いかけました。
方向転換して塾を経営し始めてからの30代は、本当に苦しい時期でした。苦しかったけど、体当たりで、全力で、迷いながらも止めずに続けてきた、だから東京へ来てからの10年は「プロ」として生きてこれたのだと思っています。明日も分からぬ零細企業経営。それでも、これをやりたいと思って続けてきた、そういうストーリーはかなり感情移入してしまいます。

著者は、最後にこう書いています。
「夢を叶える最大の秘訣は、夢を語ることだったのかな、と今気づく」

夢があるなら、あきらめることなく努力を積み重ねていくこと。
内容は是非お読みください(笑) 

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