問われたことを答える

 「君のお父さんの仕事は何ですか?」

と、問われているのに、

 「ボクの尊敬する人はお父さんです」

と答えたら、「は?」と目が点になるでしょう。問われたこと、今何をしなきゃいけないのかをきちんと把握出来ないと、こういうトンチンカンなことを言い出してしまいます。

 「そんなバカなことはしないでしょう?」

と笑う人もいるでしょうが、実は入試問題(特に国語)や作文ともなると、このような、問われていることに答えられていない解答が続出します。

 「そんなこと誰も聞いてないでしょ?」

というツッコミを入れたくなる答えばかりといっても過言ではありません。現在と率中高一貫校を目指す受験生が数名いますが、彼らに作文を書かせても、なかなか的確な解答を出してくれません。聞かれていることと答えていることが違うことなどしばしばです。特別に勉強している彼らですらそうなのですから、残念ながら国語の勉強をしていない生徒の作文など、少々怖くて見られません(笑)

自分の書いた文章を読み返さない子もかなり多くいます。書いたら書きっぱなし。「できた!」と言います。私は、「推敲」という言葉を、小学校3年生で習いました。覚えています。3~4年生の時の担任・菊池先生に習ったのですから。しかも、3年時我々はプレハブ校舎。4年時に鉄筋校舎に移りました。プレハブ校舎の黒板に「推敲」という文字を書いていたのを覚えていますので、間違いなく小学校3年生。

小3で、自分の文章をしっかり読み返し、手直しをすることを「推敲する」というのだと習ったのです。以来、もちろん忙しさにかまけたり、怠け癖があって不十分なことは多々あるのですが、それでも自分が書いた文章を読み返す癖はついているように思います。こんなブログでも、時々手直しをしたり、誤字を訂正したりはしています。また、間違いを見つけてしまうと訂正しなければ気持ち悪くて仕方ありません。

自分が書いたものを読み返せば、自分の解答がおかしいと気付くはず。推敲の時間を生徒たちには取らせたいと思います。

 

さて。そんなことを思いながら、朝から東京都庁第一本庁舎へ行ってきました。都の教育庁の方から来年度の都立高校入試や都立中学入試の概要についての説明会がありました。塾団体向けの機会ですので、何やら耳寄り情報があるかと思って行ってまいりました。

その席でのこと。まず説明が1.5時間ほどあって、残り30分ほどは質疑応答の時間ということになっていました。質疑ですね。中には出版社や教育情報会社の方々もお見えになっていたので、かなり突っ込んだ質問が出るかと思っていたのです。教育委員会の説明ではなく、むしろこっちがメイン。質疑の中からいい情報が出てくればと思っていました。

ところが、あるお年を召した方が手を挙げ、今日の会や説明のしかたの感想を延々と述べ始めてしましました。パワーポイントは分かりやすいとか、何度も聞いているけど、今日が説明が一番分かりやすかったとか… 誰も切れないものですから、延々と話し続けてしまい、時間を見ると一人で10分以上の独演会。しかも、質疑だって言ってるにもかかわらず、何の質問も無くて、「私からは以上です」なんていうものだから、会場後ろから少々ざわめきが…(笑)

 一体どなたなのかは知りませんが、みんなが待ち望んだ質疑の時間でしたから、もう少し空気を読んで頂きたかったし、趣旨をよく把握して発言をして頂きたかったですね。後ろから「質疑じゃねーじゃん」という声が出ていたのは耳に入ってなかったようですしね。

 問われたことに答えたり、物事の趣旨をきちんと把握する力は、大人になってからも非常に重要なものです。もちろん自戒もこめてですが、みな、慎重に、正確にものごとを把握する努力を続けて行く必要がありますね。

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