長年の合宿で思うこと①食事

長年合宿を実施して、生徒と生活を共にしてみるといろいろなことが分かって私たちの収穫も大きいのですが、その中で毎年強く感じるのは「食育」の大切さです。

もうかなり以前になりますが、いつもはなかなか冴えない子が合宿中にものすごく冴えるようになったことがありました。あまりに普段と違うので、何だろうと思っていたら、よく話を聞くと普段と大きく異なっていたのは「食事」でした。3食決められた時間にきっちり食事をする合宿中は、きちんと栄養補給ができていて、かつ規則正しくそれができていたので、体調も良くなり、頭の回転も良くなっていたのではないかとと思うのです。普段は「菓子パンとおにぎり」なんていう食事があったり、出来合いのものをただ組み合わせも何も考えずに食べていた…という感じのようで、自分でも食事のことを良く考えなさいとアドバイスした記憶があります。その後、その子がみるみる成長していったことは言うまでもありません。

こんな極端な子でなくても、一緒に食事をしてみると、何だかお米ばっかり食べる子、お肉が食べられない子、魚の種類がわからない子、基本摂取量が極端に少ない子、水分を取らない子など、いちいち口を出したくなる子は結構いるものです。

最初に汁物に手をつける、いきなりおかずに手をつけるのではなく野菜や副菜からゆっくり食べ始める、バランス良く食べる、そういうことも合宿中は結構言います。子供達は「えー!面倒臭い!」とは言いますが、そういうことも勉強の一つだと思っています。

偏食も結構多く見られ、トマトが食べられない子は今回何人もいました。トマトソースのスパゲティやピザなどは食べられるとのこと。加工食品慣れしている証拠なのかもしれませんね。スイカが嫌いな子も多かったですね。スイカなんて子供の頃はアホほど食べたものですが、やれ水分が多いとか、甘みが薄いとか、種が面倒だとか… スイカアイスは食べられるんですから、やっぱり加工食品慣れなのでしょう。

見たことがない食材に手をつけられない子もいました。宿では自家製の野菜を使ったメニューを出してくれるのですが、今回は「夕顔」を使った一皿を出してくれました。「こんなのが夕顔なんですよ」と、実物も持って見せてくれたのですが、それを「へぇぇ」と食べてみる子ももちろんいましたが、食べたことがないものなのでおっかなびっくりの子も… しまいには美味しくないと残す子も多かったものです。いや、美味しいのですが、未知の野菜に対する警戒心なんでしょうね。以前、冬瓜を出してくださった時も同じような反応でした。特に小学生。こりゃいかんなぁ…と思います。

朝ごはんを食べられない子も結構いました。合宿中、疲れと寝不足で朝ごはんが食べられない子はいるものですが、それでもお昼まで頭を働かせるために、また体を起こし、リセットするために朝ごはんは重要なのですが、食べたくない… 無理…と。もしかすると、いつもそうなのかな?と思わせる子もいました。ぶっちゃけ、朝ごはんを食べられない、食べない子って、あまり成績も良くありません。量は食べずとも、ある程度考えて栄養価の高いものを食べる習慣、そして水分と塩分を取る習慣をつけておく必要はありますね。特に受験生は、受験時の備えとしても。

好きなものを好きなだけ食べる子。これも結構いて、ハンバーグが出た時はお代わり続出。最終日の昼ご飯のカレーも、「あなたお代わりするの?」というような子までお代わりをしていました。好きなものはたくさん食べる、でも好きじゃないものが出たらあまり食べないで、あとで何かで補う…というような子は、何でも自由だと思い込むことが多いので、平気で授業中にトイレに立ったり、団体行動が出来ない傾向にあります。嫌いなものを無理やり食べろとは言いませんが、やっぱりバランスというものを考えながら食べることも重要でしょう。まぁ、いっぱい食べている子は心配はあまりしないのですがね。

とてもとても心配になったのは、お菓子ばっかり食べる子です。また、炭酸飲料や甘い清涼飲料水ばかりを飲む子、そういうものを無制限に食べてしまう子。今年も何人もいました。私に注意された子も何人かいます。基本的にお菓子は栄養素にはなりませんので、単に味が美味しいだけ。多量の糖質とでんぷん質程度しか栄養価がないものですが、そんなものでお腹を満たしていると、やっぱりおかしなことになりますし、肝心なご飯が食べられないなどということにもなります。

今回は、炭酸飲料で胃が重くなってしまった子もいましたし、間食をしすぎて調子を崩した子もいました。お子さんが何を食べているのか、どう食べているのか、というのは、私たちもとても気にすることですし、実は食育を含む生活の基本行動がお子さんの学力・成績にかなり大きく影響するということは強く認識しています。生活面で不安がある子は、ほぼ成績面でも不安があります。食生活が乱れている子は、やはり成績も奮いません。面白いことに、食生活を改善したり、間食をなくしたりしてきちんと生活させると、成績が向上したり、モチベーションが戻ってきたりします。食生活だけではもちろんないのですが、こういうところも気をつけてみると、意外な改善が見られることも多いものです。

普段の指導では、なかなかこういうところまで私たちもわかりませんし、触れる機会もありません。しかし、合宿で生活を共にしてみると、「原因はそこにあったか!」と膝を打つこともしばしば。是非、ご家庭でも参考にしていただけるとありがたく思います。 

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