学生講師の存在

個別指導塾というところには、大抵学生講師がいます。
いや、ほとんどの個別指導塾は学生講師で成り立っていると言ってもいいでしょう。

誰しもが言いにくいことですが、「おたくは学生の先生はいないんですか?」と聞いて、「うちは全員専任講師です」という個別指導塾があるならば、おそらく授業料が3倍~5倍ほどになるはずです。以前、友人から、某大手個別指導塾に入る際の見積もりを見せられて相談を受けたことがありましたが、小5の週1回1科目、プロ講師にお願いしたら初回納入金が17万円でした。「すげーなー!」と、相談された私の方がビックリしました(笑)

プロというのはそれで食っているわけで、家族を養っている場合もありますから、自分を安売りするわけにもいきません。会社の利益も考えれば納得いく金額ではあるのですが、適正価格がイコール一般家庭が支払える額ではないでしょう。ゆえに、塾講師は大学生の花形アルバイトですし、個別指導という「講師数」を必要とする授業形態を維持するためには、それ相応の人数を集める必要があります。

組織が大型化してくれば、当然のことながら外部から応募してくる学生講師を多数雇わねばならないことになります。最近では大手塾の別会社が人材募集や派遣などを請け負っているケースもありますが、そこはどうしても流動的な人材バンクみたいなものですから、長く優秀な講師が塾に居ついてくれるケースは稀で、どうしても「パートタイマー」にしかなり得ません。

最近では、景品表示法違反を問われるケースもあったりして、塾業界全体が消費者に誤認を与えないような自主基準を設けるようになってきました。私も経験がありますが、大学生の講師は大抵「自分は○○塾の講師だ」と答えるようにマニュアルで教えられますが、本来これも、保護者などに問われた場合、身分をきちんと明かす義務が生じてきます。ふたを開けてみると、大手だろうと個人塾だろうと、学生は多いのだということが明らかになるでしょう。

桜学舎は、開校以来16年間、大学生の講師の存在を公表し、出身大学すら隠すことはありませんでした。もちろん、塾長や副塾長、専任スタッフも存在し、全員現場に出て教える人間で、いわゆる教えられないマネージャーは存在しません。それどころか、学生講師が存在する意義を、入会の際に必ず保護者にお話をして、ご理解を頂いて来ました。

桜学舎の学生講師の最も大きな特徴は、半数近くが桜学舎の卒業生であるということです。私たちの授業を受け、話を聞き、近い距離で指導を受けながら大学へ進学した生徒が、後輩の指導にあたるべく講師修行をしてくれる… そんなことが出来る環境であるということです。

また、その講師達が友人を連れて来てくれたり、地域や生徒のご父母からご紹介を頂いたりと、いろいろなケースで講師が集まってきますが、アルバイト情報を見て応募してくるというケースが限りなく少ないのです。

また、学生講師の存在自体が組織の若返りと活性化を維持しています。塾長以下専任スタッフは、それなりに年齢を重ねていきます。昔の学生事情と現代では大きく感覚が異なる部分もあり、新しい情報をもたらしてくれるのは間違いなく彼ら・学生講師なのです。もっとも若い学生講師と、専任スタッフももう10歳ほどの年齢差が生まれ始めていますし、塾長の学生時代など四半世紀以上前の話。それじゃまずいわけです。

ただ、学生講師だけが教務に入り、学生講師が運営しているような組織は危険です。仕事の意識が希薄で、サークル運営のようになってしまい、責任の所在があいまいになっていきます。もちろん指導経験やマネージメント経験が少ないため、取りこぼしや指導漏れ、不足なども出てくることも多いでしょう。ですから、熟練の管理者がその時々の問題を解決し、アンサーを提示していく必要があるのです。私も大学生時代に管理者不在の塾で奮闘したことがありますが、今にして思えば上手く行かないことが多かったように思います。

桜学舎が急激な拡大をしないのは、この今のいい「バランス」を維持したいからなのです!

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