渡る世間に鬼はなし

 「渡る世間に鬼はなし」というのが正しい。

 「渡る世間は鬼ばかり」というのがやらたに有名になってしまって、正しい言い方を知らない子どもが大半。これじゃ、悲しすぎる… 是非、正しい言い方を教えてあげて下さい。これだから人間不信になるんですよ(笑) 橋田壽賀子も罪だなぁ。
 
 で、鬼ばかりかな?と思うことも多い昨今、そうでもないなぁ…と思うことが多いもの。みんな、この「東京砂漠」で肩を寄せ合いながら生きているんだなぁ…と思うことも多いものです。
 
 ところが、田舎にいるとどうだか分からないけれども、東京都内の喫茶店、特にドトールとかルノアール、そういうサラリーマン・ビジネスマン系の茶店にいると、やたらに金融屋とおぼしき人々が話をしているのを聞きます。最近、特に多い気がします。
 「抵当権を打つ」「所有権はどこに移る」…なんて話から、「どこに投資する」「誰に出させる」「いくら売り上げる」なんて話まで。内容が聞こえてくると、「こいつ株屋だな」「こいつ金融屋だな」「こいつは先物か?」なんて思ってしまいます。

 しかも、それが30才前の、地に足着いていない若者が結構多い。

 エリートの悲惨な事件やら、人生足を踏み外した事件などは山のごとくありますが、人生、勝ち負けで物事を考えていたりすると、あまりいいことは無いようです。ましてや、超ボジティヴシンキングとか、上昇志向なんかが強すぎると、困ったことになります。命まで失いかねない…。

 大事なのは、「義理人情」である。私はここしばらく非常にそれを感じるのです。
 
 以前は私のところにもよく電話が来ました。まぁ、石油だ、コーヒー豆だ、金だ、ガソリンだ… しまいにゃ「とうもろこし」。古典的なところは小豆。

 「私に、300万お預け下さい。損はさせません!」

 よぉ~く、冷静に考えてみれば、突然電話がかかってきただけで、見ず知らずの人に、300万円もの大金を預けるバカはいないと思うのですが、実際はいるから成り立ってるんでしょうね… 何か興奮状態に陥り、冷静さを欠いちゃうんでしょうかね。

 一度、「そんなに儲かるんなら、人に言わねぇで、おめーがやれ!おめーが個人で300出して大儲けしたらやってやるよ」と言ったら、電話を切られました(笑) これが真実でしょ? 社員が儲かってしかたがないって言うなら、自分たちだけでそれを本業にやればいいじゃないか。人にやらせようという意味を考えねばなりません。そのリスクを知っている自分たちはやらないわけですよね。
 
 私の知っている限り、投資で人生リセットかけた人、何人も知ってるのでね。結論としては、
 
 かの読売会長・渡辺恒雄氏は、当時ほりえもん率いるライブドア社を名指しで「虚業」だと言いました。金をやり取りし、数字を動かすだけの虚業だと。
 虚業が勝ち組と言われる時代。怖い怖い。

 勝たなくていいから、人間的なつながりを大切にした、優しい生活を送れるよう、少なくとも自分の教え子には育って欲しいものです。
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