映像授業は万能じゃない

スタディサプリ980円。
トライイット0円。
つい最近は何ちゃらという映像授業の案内が100円って来てたなぁ。
 
もう「素晴らしい授業」の価格はこの値段になりました。
「授業の品質」を一生懸命競っていた塾は、果たしてこの価格に対抗できるかという話ですね。
 
以前は様々なところで、「塾の生命線は授業の品質だ」と言われてきました。授業の上手さを競うことに命をかけていた人たちも多数見てきました。確かにね。それもありました。大手塾などでは授業コンテストの様なものが常に開かれ、専任講師たちに前でいかに生徒を惹きつける授業をするかが競われていました。それはそれで正しいとも思うし、いい訓練にもなっていたのでしょう。雇われ講師で、「授業の腕一本で食っていく」人ならば、そういう生き方もあるでしょう。
 
でも、私は違うと思ってきました。
 
それは、29歳の頃に自分で塾を経営し始め、大学生を主に使ってきたことで開く「悟り」のようなもの。専任講師を正社員で使っている塾ならいざ知らず、大学生はどれほど鍛えても、一番脂の乗ってきた4年生で辞めてしまいます。延々とこれの繰り返しで、常に授業研修をせねばならない、つまり積み重なることのない不毛な努力の繰り返しなのです。賽の河原に…って昔言ってた気がします(笑)
 
ましてや個別指導なんて、これだけ世の中に個別指導塾があって、大学生やフリーターなども多数雇っている中で、「素晴らしい講師」がその数だけいるとは到底思えない訳で、研修するにも限度があります。だからいずれはこういうテクノロジーを使った時代が来ると予見していました。もちろん、千葉の奥の田舎で塾をやっていたので大学生講師が集まらないという事情もあったんですが、そういう理由で自前で映像を作り始めたのです。
 
仕事が終わって帰宅して、自室でセコセコ夜中に自分で映像を作って、VHSに落として翌日以降に生徒に見せて個別授業。これ、かなりやりました。大変でしたけど、若さゆえに頑張ったんだろうなぁ。

でも、何度もいろいろなところで書いていますが、うちを見学に来た時に、ある先輩塾長が、

「ビデオ見せて金取るなんてボッタクリだなぁ」
「そんなの、塾って言えないんじゃないの?」
「授業が塾の命なんだよ。こんなの長続きしないよ」

と言ったのを、今でも鮮明に覚えています。あの場面、どの位置で、どんな表情で、どんな声で。覚えてるもんですね。15年ほど前でしょうか。
 
今や映像真っ盛り。しかもこの価格。
 
授業の品質がー、授業が上手か下手かー、なんてやってるうちに、トンビが油揚げをさらっていく様に、映像授業が生徒を奪い取っていきます。うちの子達も何人もスタディサプリ980円を払っています。

でも、自信を持って言えるのは、映像授業をいくら無料で見ても、ダメなものはダメ。これは世間が映像授業なんて見向きもしなかった時代から映像を自分で作って塾生に見せてきた経験を持つ私が言うのですから間違いありません。ただ見たって、ただ見せたってダメ。できる様になんてなりません。映像授業を見るだけでいいなら、NHK Eテレ(教育テレビ)で十分でしょう? 何であそこまで作り込まれた立派な映像授業で全てを補完できないんでしょうか?

「授業受けるだけじゃだめでしょう?」
「映像見るだけじゃ成績なんて上がんないよ」

そういうノウハウをきちんと構築できたところだけがこれからは生き残る時代が来ているのだと思います。自塾でも映像授業を使いながら、しかも映像を使っている他の塾をブチ抜ける力を持ってる塾が勝ち残ると、そういうことなんだと思います。
 
いや、結論として、最後はアナログが勝つんですが、それも、「デジタルテクノロジーを使いこなすアナログ」が勝つんですよ、きっと。最後の最後は人間ですからね。
これは間違ってないんです。絶対に。
 
ただ、勝ち残るのがウチであるかどうかは、これまた別問題なんです(泣)
コワイコワイ!(笑)

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