「都立高校マークシート導入」を改めて考える

再来年春から、都立高校入試でマークシート方式導入が検討されているという報道がありました。採点ミスの問題が大きく取り上げられたことに対するアンサーであると思われますが、やや短絡的かつ安易であると私なんかは思ってしまうのですが、皆さんはどうお考えですか… 今後の発表に注目して行きたいと思います。
 
ただ、私はどうもこのマークシート方式というのが好きではありません。特に大学入試センター試験が、自分で指導していて言うのも何ですが、好きではありません。というか、嫌いです(笑)

あの、選択肢を選ぶという方式が、どうも間違った学力観を生んでいたり、生徒に植え付けているような気がしてならないのです。それは自分の生徒を見ていてももちろん思うのですが、むしろ外部からやってきた学生講師たち、特に真面目に予備校で勉強してきた高学歴の学生達が話す内容や会話の端々から感じることです。

本来は採点の正確さや効率化を求めるために始まったマークシート方式ですが、センター試験の国語などは一つの選択肢がA4用紙縦で2行~3行、5択なんてものがザラです。1問で1Pというのも標準です。ハッキリ言って読むのも面倒ですし、マトモに考えていくと80分という解答時間は結構短いものです。

結果的に、「正解はこれだ」と考えるよりも、「いかに効率的に間違いを探し、除外するか」「このタイプのものが正解であることが多い」「必ず選択肢の種類はこういうもので揃えられている」などという、「解答テクニック論」に行き至ります。国公立大学を目指す生徒にとっては所詮「前哨戦」でしかなく、ここが本番ではない、そして私大受験生にとっては狭き門であり、あくまで本番は一般入試… そう考えるとこだわる必要はないし、こだわっている生徒もそれほど多くないのかも知れませんが、学校の先生達は「センター試験、センター試験」と言っている声も多々聞こえます。

これは我々塾・予備校のいけないところなのかも知れませんが、どうもそういう試験であるが故に、「上手く乗り越えろ」「テクニックで何とかしろ」「足切りにあったら元も子もない」と、結局は分かっても分からなくても、とにかく点数が取れるように「研究」し、「傾向分析」して、「対策」を行うことに終始してしまいます。

子ども達ももちろんそういうことをするのが「勉強」だと思い込んでいる節があって、だから学生達にセンター試験を語らせると、
「選択肢の中に反対語が含まれている場合は必ずどちらかが正解なんですよね」
とか、
「『むしろ』って言葉があったら強調語句なのでこれが正解の選択肢ですよね」
「絶対、『言い過ぎ』の選択肢と、『不足』の選択肢、『ボケ』の選択肢があるから、これらを落とすとすぐに2択までは絞れる」
とか、こんなことを言い出す訳です。確かに試験を乗り越えるためには必要なことなのかも知れませんが、それを得意げに学生講師が生徒に語り始めると、私はストップをかけます。

「それは、学習指導じゃない」

と。そんなのは勉強でもないし、そんなのは子ども達の学力を形成する上で役にも立たない試験テクニック。ましてや、桜学舎に来て「勉強」をしなければいけないレベルの子ども達には間違った学力観を与える「害悪」になりかねないよ…と。

きちんと話すと、まぁ頭のいい大学に通う学生達ですから、分かってくれますし、気づいてくれます。でも、そこで忠言しないと、それがいかにも正しい分析に基づいた学習方法であると思い込んでいることは多々あるのです。それが実に「怖い」と思ってしまうのです。学生達は、センター試験がどうだったこうだったというのを、結構いつまでも嬉々として語り合っていることが多くあります。私には正直それが気持ち悪い訳です。

都立高校入試でマークシートが導入されるということは、明らかに選択肢型の問題が多くなり、一部記述解答用紙が配られる「私大型」入試になるんだと思います。つまり、かなり多くの問題が、鉛筆を転がしても4択ならば確実に25%の確率で正解になるのです。マグレも出てくるでしょう。そして、ただでさえ「考えない」中学生達が、ますます「考える」という行為から逃避する可能性もあると思います。
純粋に、「嫌だなあ」と私は思っています。

元々ある答えを選ぶ人生や勉強は嫌だなぁ。既存の答えをぶちこわすような子を育てたいなぁと思っているのですが、どうも「既存の答え」すら身に付かない子も多くて苦労しているというのに(笑)

さぁ、そういう考え方をどう保護者に伝えていくのか。それを踏まえて桜学舎で行う教育の理念をどうもっていくのか。またまた考えることが多くなってきました。

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