おかどちがい

脳科学者の茂木健一郎氏が、Twitterで大手予備校を名指して激しく中傷して話題になっています。
ある講演会で何かがあった模様で、偏差値教育に対する怒りが爆発した模様です。

まぁ、学者さんらしく、
「潰れろ!」
なんて少々子どもじみた言い方で、かえって笑ってしまったのですが、それでも名指しされた予備校は面白くないでしょうね。まぁ、言わせておけ…と、どこ吹く風なのでしょうが。

ただ、茂木氏の言いたいことや気持ちも、分からなくはありません。
ある部分では、桜学舎の主張とかぶる部分もあるのです。

私達も、中、高、大、どの受験においても、勉強の本質を理解させることが重要であって、いかに正答を炙り出すかとか、問題パターンの分析からどの答えである確率が高いか…などという勉強をさせるわけではないと言っています。一見学習塾の本領発揮である「傾向分析」「効率主義」を放棄しているように見えますが、要は「受験にしか役立たないような無駄な勉強をする暇はない」と考えているからであって、結局のところ「入学試験のみに使えるスキルを身に着けることは無意味である」「本質を理解した方が結果的には無駄が少ない」ということを知っているからにすぎません。

ですから、桜学舎では「答案練習」とか、「徹底したパターン慣れ」などは行いません。パターンを変えられたら、途端にできなくなったりするからです。

たとえば、これもよく使う話ですが、人生の中で、文章中に空欄1があったり、傍線部Aがあったりする文章にお目にかかることは、受験勉強以外にあるでしょうか?という問題です。ありませんよね? 少なくとも私は、そんな文章に「受験勉強」以外、お目にかかったことはありません。もちろん、論理性を試されているという「意義」は理解出来ますし、そういう勉強もしました。

しかし、内容を理解せず、ただ設問に対する答案練習をひたすらこなして、分かっても分からなくても合格点をもぎ取るというスキルを身に着けたとします。これって、受験勉強以外に、どこで役立つのでしょう?

受験が終われば、一生「空欄1」にはお目にかかりません。
空欄1の問題を〇で通過したら、その先一切必要ないというような「不用なスキル」を、若い学生時代に必死に身に着ける必要があるのでしょうか? これこそ無駄だと言わざるを得ません。

そういう意味で、現代の受験システムに問題があることも事実でしょう。本当の勉強かどうかも分かりませんし、偏差値という序列付けで正しい学力観を持てるかと言われれば、確かに疑問をもあります。茂木氏は何かをきっかけに、偏差値万能主義の少々変な人に出会って、怒りを覚えたのではないでしょうかね?

偏差値というものは単なる統計学上の数字です。データでしかありません。主観の入らないデータの方が、公正な序列付けが出来るというメリットがあります。主観が入った評価では、好き嫌いで判断されるケースもあるでしょうから、不公平が出るのは確かです。データを見て、自分を客観的に判断する能力を身に着けるには、実はこの偏差値も害悪ばかりであるとは言えません。

しかし、数字があまりに正確であるため、一指標を「万能である」と勘違いし、過剰な競争を招いてしまうことも事実でしょうし、偏差値が高ければいい、偏差値が高いから優秀だ、偏差値が高いから偉い…などと、おかしなことを言い出す人がいるのもこれまた事実なのです。

偏差値万能主義の方は、逆にそれだけがプライドとアイデンティティになってしまうケースもあるようです。偏差値が高いことが「成功だ」と。しかし、高偏差値で低収入(高学歴ワーキングプアと言うのだそうです)などということになれば、これまた何が成功なのかが分からなくなります。偏差値が高いことの意味を、もう少しきちんと解釈しなければいけませんね。

図らずも、先日の「合格・進学祝賀会」の挨拶で、私は「いつまでも『オレの受かった大学のほうが偏差値が高い』とか、『オレはセンター試験で何点取った』とか言うようなくだらない人間になって欲しくない」と言いました。本当に、こういう人がいるんですよね。ビックリします。きっと、「オレの方が点数が上だった」と言わなきゃアイデンティティが保てないのでしょう。それしか勝てるところが無いのでしょう。

でも、受験が終われば、受験テクニックや選択肢を選ぶスキルなどはどこにも役立ちません。その技術で偏差値を上げても、なーんにもならないのです。

だからと言って、偏差値を使って大学への入りやすさの指標を作っている予備校を批判するのは、どうもお門違いな気がします。

そもそも予備校さんは御商売。
需要を察知して商売を広げてきただけです。

私は、学校内にまで招き入れ、予備校さんをまつりあげてのさばらせてしまった、茂木氏の言うところの「教育者」の不甲斐なさをまず責めて欲しいなー、と思うのです。学校の先生方は、どうも最近予備校さんに対して敬意を払い過ぎだし、自信なさすぎです。先生は勉強教えるプロだと思うんですけどね… 予備校講師が学校内で補習…っていうのは、どうも違和感があります。

ただ、予備校は市場に需要がある限り残ると思います。実際便利ですし、数字は結構正直だと思います。それはそれです。

教育を真面目に考えるならば、そんなところを責めるよりも、受験テクニックではなく、もっと「ちゃんと勉強する」ということを勧めてほしいなぁと、私は思うのです。

桜学舎は、「勉強の本質」を、つまり「きちんとした理解」を目指して、どんな問題が出て来ても対応できる、テクニックではない実力を付けさせることを目標に頑張って参ります。

———————-
茂木健一郎氏がTwitterで偏差値教育に怒りをあらわに「くされ外道予備校ども、みんなつぶれろ!」
http://news.livedoor.com/article/detail/8613697/

つぶれろ、駿台、つぶれろ、代ゼミ、つぶれろ、河合塾、つぶれろ、東進ハイスクール、つぶれろ、ありとあらゆる、偏差値を計算する、くされ外道予備校ども、みんなつぶれろ! 日本の10歳、11歳、12歳、13歳、14歳、15歳、16歳、17歳を、偏差値奴隷から解放せよ!

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