メディアリテラシー

 このところ、政治的な問題や国際問題、さらには国内の経済や天災・人災などが様々な形で報道されています。皆さんそれぞれにお考えがあり、それぞれに主義主張があるのでしょう。また、特にそんな考えが無い方でも、こんな時代ですからいろいろなものを見聞きしているかと思います。

 子どもは大人にも増して情報収集能力長けています。というのも、お父さんお母さんの世代は恐らく「大人になってから通信手段が発達した」世代だと思います。私も大学生の頃にポケベルが流行りだし、卒業後にPHSや携帯電話の普及が始まりました。私はWindows95に飛びついた世代。それまでのMS-DOSやWindows3.1は少しいじっていましたが、95でPCを本格的にさわりだし、98で本格的にインターネットを使い始めました。誰も見ないホームページをセコセコと作っていました。タグ打ちで(笑)

 しかし、今の子どもたちは生まれた時から、つまりデフォルトで、もうネットも携帯も何もかもがあった世代です。スマホで何でも調べられる、そんなのは当たり前…という世代です。ですから、大人が考えるのよりもはるかに上を行く情報収集能力を持っています。

 ゆえに、子どものもとには様々な情報が舞い込みます。今学校でも監視が強くなった「LINE」、SNSの代表格である「Twitter」、高校生が多くなった「mixi」、その他「Facebook」「MySpace」などの交流サイトも盛んに利用されています。お子さんがこれらにアカウントを持っていることをご存知ですか? 桜学舎のTwitterをフォローしている現役生徒も何人か知っています。

 例の広島での事件が起きてから「LINE」を禁止する学校も出てきているようですが、これだけ普及したものを「禁止」することは事実上無理ですし、禁止する権利は学校には無く、実質単なる「お願い」に過ぎません。
では、これからの子に何が必要かと言えば、玉石混交の情報に惑わされない「メディアリテラシー」と、誤った情報を無責任に流さない「ネチケット」であることは間違いありません。

 私の国語の時間にも何度か生徒にはこのテーマについてお話をしたことがあります。「新聞に書いてあった」「テレビで言っていた」「本に書いてあった」などという根拠で物事を判断すると失敗することがあるよ、と言うと、子どもたちは非常に驚きます。しかし、ご存知のように今やマスメディアの恣意的な報道についても論じられるようになりました。

 高校生に「新聞各紙の社説を読み比べてごらん」などというと、必ず「新聞によって言ってることが全然違うんですね…」という感想が返ってきます。かなり衝撃的なことのようです。そうですよね、テレビや新聞は本当のことを伝えていると思っていますから。でも、それぞれに主義主張・思想があります。それがいけないのではなく、それを理解せずに情報を鵜呑みにしているのが危険なのです。

 最終的にどのような考えを持とうと、どれを真実だと信じようと、私は「個人の結論」であると思いますし、それについては「自己責任」だと思います。しかしながら、「そんなこと知らなかった…」と言っても手遅れなことは多々ありますし、「どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」と言ったところで「甘ったれるな」と言われることもあります。

 Aという情報があればBという情報もある。偏ることなく、どちらの情報も得て、よく理解し、精査して自分で判断する、そういう能力がこれからの社会では求められているのだと、私は確信しています。ゆえの「リテラシー」なのです。

 しかし、そんな社会の流れに反して、とにかく「国語力」「理解力」の無い中高生が大変多くなってきていると私は思います。学校ですら机に向かう勉強ばかりやらされ、知的好奇心を養う大切な時期に、「いかに点を取るか」という趣旨の勉強を徹底されるのは決して幸せだとは言えません。

 世にある情報を常に「ホントかよ?」と疑い、絶対正しい情報などないのだとナナメから見る、そして自分で判断する。そんな力を持つための「国語」をしっかり学習してほしいと思います。

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