過去問というもの

昨日の内容に若干カブるところがありますが、ご容赦を。

過去問を繰り返し解くと合格する。
そんな迷信を本気で信じている人がいます。
塾業界で「過去問だけを繰り返せ」なんていう講師や塾長がいたら、それは素人と言っても過言ではありません。

過去問とは何か?
答えは一つ。
「二度と出ない問題集」

当然です(笑)
学校のプライドとして、今発売されている過去5年分の問題集に掲載されている問題など出題するわけがありません。
もっとも、「同じ漢字が問われている」「似たような計算が出されている」といった程度のものはありますよ。当然ね。下位の学校になればなるほど、問われる範囲は限られてくるものです。

しかし、基本的には毎年入試問題は作り変えるものです。同じ問題が出るとは考えられません。問われる範囲も変わってくるはずですし、タイプの違う問題を出題してくることになるでしょう。

過去問ばかりをやっていれば合格できるというのは迷信です。
過去問で成績など上がりませんし、合格率も上がりません。出来るようにもならないし、勉強になんかなりません。

じゃ、過去問は何のために?

使い方は2つです。
まず1つ目は、「入試問題の傾向を見る」ということ。
学校によっては、非常に特殊な問い方をする問題を毎年出すところがあります。

たとえば、YS高校では、1問の中に①~⑤の選択肢と⑥~⑩の選択肢があり、

「①~⑤の中から性格の異なるものを一つ選び、その他の4つに共通する事項を⑥~⑩から選べ」

という問題が出されます。要は、①~⑤から仲間ハズレを一つ選び、残り4つの共通点を⑥~⑩から選べというもの。これは予め問題傾向を見て、解答方法を知っていればすぐ問題に取り掛かれますが、問題指示を初めて見る子は、当日の緊張もあってか、すぐに飲み込めないようです。

こういうことがありますから、問題傾向を見ておいて、出題形式慣れておくというのは有効です。

それから、毎年問われていることは、昨日の「出るところばかりやる」というのでは困りますが、出る可能性は高いわけですから対策をしておくことは重要です。そういう傾向を見る本なのですね、過去問は。

そして2つ目。
「実際に時間を計ってやってみる」

要は、模擬試験だと思って、時間をきちんと計り、問題集に付属している解答用紙を使って、過去の問題にチャレンジしてみることです。私立高校なら6割5分~7割出来ていれば、ほぼ合格確実圏でしょう。そういう自らのチャレンジのための問題集です。

ですから、夏あたりに過去問(大学受験生は赤本)をやる子がいますが、大丈夫かな?と思います。よほど勉強が進んでいる子でないと出来ないと思いますよ。傾向分析はしつつも、一通りの勉強が終わった後に仕上げとしてやるのが過去問であって、過去問で勉強などしてはいけません。

ただ、過去問は早くに入手して(限定生産なので、間際だと売り切れる可能性がありますので、入手はお早めに)、傾向分析ページや学校案内などは読み、問題はパラパラと眺める程度でOK。秋口あたりから1日1年度程度のペースでガンガン解いていくのがオススメです。

ただし、一つだけ注意点があります。
過去問では勉強にならないと言いましたが、例外もあります。
複数の学校を受ける場合は、Aという学校の過去問で出題されていた問題は、恐らくしばらくはAの入試には出ないでしょう。しかし、Bという学校の入試には出る可能性があります。狙われる可能性はあるのです。

特に私立の学校はお互いの入試問題に注目し、よく研究しています。A校がB校に追いつきたいと考えている場合、問われる内容を模してくることも十分ありえます。実際ある年度の都内私立入試問題を研究していると、同じ内容がAでもBでもCでもDでも問われている…なんていうことは多々あるのです。

高校入試では、都立入試問題を意識している学校もありますし、大学入試ではセンター試験の傾向を模している学校もあります。
ですから、受験生になった1年間に自分が当たった事のある問題を確実に、知りえた知識を大切に記憶しておくことは重要なことです。

受ける学校の過去問ばかりやればいいというものではありません。
親御さんも、その点はよくご理解くださいね。

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