「しまね留学」を応援しています

「地域みらい留学」「しまね留学」を応援する塾の会
https://chihou-ryugaku.com/
というサイトが立ち上がっています。しまね留学サポーターを拝命している桜学舎としては、しまね留学の応援をしております。完全なるボランティアですが、高校受験生の一つの進路として道を作っておくことは非常に重要だなと思ってのことです。

そこへ寄稿して欲しいというご要望がありましたので、こちらと並行して寄稿したいと思います。
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私が初めて島根県を訪れたのは高校1年生の時。1984年の夏でした。
松本清張の「砂の器」に出てくる「亀嵩駅」や、出雲坂根の三段スイッチバックに憧れて、木次線に乗りに行くことが目的でした。貧乏旅行の高校生でしたから青春18きっぷを使って、全線各駅停車という旅。当時沢山走っていた夜行列車を何度も使っていたので、どこに宿泊したかの記憶すらありません。しかし、出雲大社も訪れ、宍道湖を眺めた記憶も鮮明に残っています。その後、大学生卒業後にサンライズ出雲でやはり出雲大社を目指したことがありました。この時は随分駆け足だったかと思います。

三度目は妻と。結婚直前に二人で玉造温泉に宿泊し、出雲大社にお参りをしてご縁を結んで頂いたと感謝の参拝をしました。そして四度目、結婚十年目のお礼参りに妻と再度出雲大社へ。ココから、ご縁の連鎖が止まらなくなり、本当に数多くのお仕事の縁、そして人の縁を頂くことになりました。そのご縁の連鎖はいまだに止まらず、人が人を呼び、仕事が仕事を呼んでくるというご縁をありがたく頂戴しています。まさにご縁の国、出雲。

このご縁の連鎖の中に、「しまね留学」が含まれています。
何故か高校時代から魅せられて何度か足を運んだ島根県。その島根の県立高校に進学することが出来るプログラムがあると知ったのは、これまた島根ご出身の尾糠先生にお会いしたのがきっかけです。

交通が非常に不便で、特に日本海沿岸以外は横移動・縦移動とも難しい島根県では、離島や中山間地域の高校に学生寮が併設されているそうで、島根では高校から寮生活ということも珍しくないのだそうです。これは島根だけなのかと思いきや、新潟の先生にも「こちらも同じだよ」と言われたことがあります。東京の中高生からすれば、高校での寮生活というのは非常に特殊なことですが、地方の中高生にとってはもう少しハードルが低いのかも知れません。

県外生受け入れのはしりとなった隠岐島前高校や島根中央高校の取り組みが評価されて、今では全県16校で県外生の受け入れをしていますが、それぞれの特徴があり、魅力もまたそれぞれ。都会の公立高校のように偏差値で輪切りにされるのではなく、学校自体の魅力や中身で選ぶことが重要な進路選択になります。

私は2017年に津和野高校、吉賀高校の2校を見学に行きました。津和野高校は街中の学校という感じでしたが、街ぐるみで高校を応援する雰囲気があったり、多くの「魅力化コーディネーター」と呼ばれる若いスタッフたちの力がみなぎっていたりと、エネルギッシュなイメージ。生徒の需要に合わせて少人数の授業が設定されていたり、併設の公営塾にも活気があったりして、私がそれまで持っていたイメージとは大きく異なっていました。

反面、吉賀高校は山間地域の小さな学校。全県で一番小さな高校だということでしたが、確かに街の雰囲気も長閑ですし、学校には花が咲き、窓を開け放って爽やかな風が吹き抜ける中で授業が行われていたりするのは、地方の高校ならではの良さなのでしょう。心落ち着く環境であったことに感動すら覚えました。こういう高校生活も、これはこれでいいだろうなぁ…と。

2019年に再度島根訪問。島根中央高校にお邪魔しました。2箇所ある学生寮も見学させていただきましたが、大人から見ると少々心配な寮環境も、子どもたちは実に楽しそうに思い思いの時間を過ごしているようでした。洗濯や身の回りの整理、持ち物の管理なども自分でやることで、生活力がついたり両親への感謝を改めて感じたりするようです。そして自分たちを支えてくれる地元の方への感謝も。

同時に、大田市の山村留学センターにも一泊させて頂き、子どもたちの生活を見させていただきましたが、意外に首都圏を始めとする大都会から留学に来ている子が多く、何年も過ごしている子達がいることに驚きました。そしてその子達がしっかり「自立心」を持って過ごしていることに驚きました。都会の子に比べて随分と大人。それは「子どもが少ないがゆえに、大人ときちんと話せないと生きていけないから」なのだそうです。なるほどなぁ…

この年は、5回目の出雲大社参拝も叶い、以降また数多くのご縁を頂きながら現在に至っていますが、2020年9月には県から「しまね留学サポーター」の名刺を頂戴し、こうして島根の魅力について語ることになりました。これもご縁を頂いているひとつということになります。

実は、この名刺を頂戴した数日後に、夕食のために地元でよく行く居酒屋さんに立ち寄りました。そこで卒業生のお母様に偶然再会。大学に進学したというご報告を頂き、よかったですねと世間話をしていると、「高校は遠くに行ってしまったので、一時はどうなるかと思ったけど…」とおっしゃるので、「どちらへ?」と聞いてビックリ。「島根県へ」

え?

私の名刺を差し出し、さらに両方でビックリ! その子は、偶然にもしまね留学の制度を使って県立横田高校へ進学し、大学は東京に戻ってきたそうです。お母様は、「島根は本当に良かった」「しまね留学の体験談で必要だったらいつでも呼んで下さい」という絶賛ぶり。私達にとってこれ以上の裏付けはありません。何せ卒業生が実際に行き、本当に良かったと言っているのですから。

もちろん、合う・合わないはあるでしょう。島根に限らず、地方留学・地方での生活というのは万人受けするものではありません。ただ、私も東京に暮らしていて実感しますが、都会の時間の流れはあまりに速すぎます。いろいろなものに追われ、日々立ち止まることすら許されないような生活です。その流れに疑問を持ち、自分を今一度見つめる時間が欲しかったり、異なる環境を経験してみたかったり、あえてゆっくり流れる時間の中へ行ってみたかったりするには、このしまね留学は最適であると思っています。

自分の目で見て、確かめて、多くの高校生にこの島根への進学というご縁があることを願っています。

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