【中学生】通知表の3は真ん中ではありません

東京都の教育委員会がこういう資料を毎年発表しています。こういう資料って、探さないと出てこないのですが、でもHP上に公表されている資料ですから、一番信頼性の高いオフィシャルなものとして、誰でもが閲覧できるものです。

高校入試で一番モノを言う「内申点」
都立高校では、英数国理社は×1、音楽・保体・技家・美術は×2を得点化します。私立高校は出願基準を設定している学校が多く見られます。

しかし、この内申点については、求める高校側と、実際に点をつけている中学側に大きな意識の齟齬があると私は思っています。つまり、高校側は3を基準として、「ほぼ4」の生徒が欲しいと思っていることが多いようなのです。

実際、多くの私立高校の「単願」「併願」ともにオール4である5科目20、もしくはそれに近い形の基準が設定されていることが多いように見えます。ところが、成績を付ける側の意識としては、ほとんど1と2はつけられない、つまりは実質「3」が最低線ということになるのです。

実際、下記表中の台東区「4」中学校(実名は明かされていません)は、ほぼ全ての科目で「1」をつけた生徒は0です。またどこの中学校を見ていただいても、1と2は合計でも全体の2割に満たない割合になっています。つまり、全中学生の中で、成績表に1や2がついている子は2割しかいない、残りの8割が5・4・3の中にひしめいているということです。

どこの中学でも今や珍しくなくなった不登校のお子さんは、残念ながら出席が0なので1をつけざるを得ないわけですが、そのほかはよほど提出物が出されていなかったり授業態度が悪かったりして2がついている子がいるでしょう。つまり、普通に過ごしていれば「3」がつくはずですし、50%近くに「3」を付けている学校も結構あるものです。つまり、今や3は真ん中ではなく、ほぼ最低ライン。せめて3は…というラインだと言えるのではないでしょうかね。

私たちも含め、大人はどうしても「3」は真ん中で、可もなく不可もなくといった印象ですが、実はそうではないわけで、これはイメージとか何となくということではなく、東京都教育委員会が発表している数値によると、そう解釈できるということなのですから、目を背けることのできない事実だと思います。

この中で4以上を取っていくというのは本当に難しいことで、2割が1と2、5割が3ともなると、結局4と5は全体の3割しかいないわけで、上位30%に入っていないと成績で5・4はもらえないということになります。一応、かなりザックリと乱暴に言うとそういうことなんでしょう。

さらに、そこには定期テストの点数以外の要素も入ってくるからよくわかりません。実に難しい。ある学校は90点以上が5だ、80点以上が4だと明言しますし、ある学校は80点の子が5が付き、90点以上の子でも3が付いています。今回は実は生徒の中間期末試験の点数と通信簿の相関関係をデータで取ってみようと思っていますが、まぁ実によくわからないケースが多々あります。それなりに計算式と要素があってのことなんでしょうけれど、客観的にはなかなか測れないのが難しいところです。

一つ言えることは、3年生になってから、いや、3年生夏休みや2学期になってから頑張っても、成績はそうそう上がりませんよ? ということです。かつては夏の総体が終わってからいよいよ受験が本格的になると言った雰囲気がありましたが、正直現在はそこから頑張ってもせいぜい1上がるか2上がるか。爆発的に成績が上がることはまずありません。テストの点数が爆発的に上がったとしても、すでに成績は確定しているかのように微動だにしないというケース、志望校変更を余儀なくされるケースは多々あります。実際、毎年のようにそういうケースが出てきています。

2年生、1年生のうちからきちんと対策をして、コンスタントに成績を取っていくことが重要なのでしょう。幸いなことに、一応「絶対評価」と言うことになっていますので、我々の頃のように成績の割合が決まっていた「相対評価」ではなくなっています。理論上は全員100点なら全員5ということになるはずです(実際はそうならないけど) ですから、まず自分がきちんとやるべきことをやって、コツコツと成績や学力を積み上げていく必要が、特に低学年のうちからあるように思います。

http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/2017/pr170323f/besshi.pdf

↑ 結構見るとびっくりします。数字ばかりで頭が痛くなる表ですが、他の区と比べてみても傾向が異なっていて面白いものです。

この時ばかりは、統計学などを学ぶ学科に在籍していたことに感謝しますね。見慣れているという点だけでもハードルは下がった気がしますので。何でも学んでおくと大人になってから役立つものだなぁ。
 

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