驚くこと

 私は、生徒が頑張っていい点数を取ってきたときに、

  「よく頑張ったね」

とは言いません。努力が実を結んだとか、頑張ったから取れたんだとか、そういう言い方はしないのです。

 「すげーじゃん!」
 「オイ、オマエに何が起きたんだよ!?」
 「何だ、ホントは出来るんじゃん!」

 基本的に「ビックリ」するんです。どうせできないと思っていたけど、実は出来るのか!みくびってたよ、恐れ入りました… そういう褒め方をします。子どもは本当に嬉しそうな顔をします。

 2回目だったり、今回も頑張りましただったり、苦しいところが見えていた子や、私に怒られて泣いたり、キツい目に遭った子が頑張った時は、私は殆ど何も言わず、ただ「ハイタッチ」をします。ニッコリ笑ってですが。

 私が手を高く上げたり、グーを差し出すと、子ども達も手を上げ、グーを出してきます。よーし!って。

 1回出来たからって、次も出来るとは限りません。本当に出来ない子は、1回で来ても次はダメだったりします。でも、他の教科が上がったり、前より楽しそうに塾に来たり。いつもいつも驚くことが多いものです。

 「力がないわけじゃない」と子どもを信じることと、「そんなにすぐに点数が良くなるわけじゃない」と期待しないことは、決して相反する行為ではありません。塾に通ったから、勉強をさせたから、すぐ成績が上がるだろうと思うのは大間違い。大改造が必要な子も多いものです。半年、1年、そんなスパンでようやく私たちが言っていることを理解してくれる子も多いものです。だから、そんなにすぐには期待しない。私達はそう思っています。

 ゆえに、ちょっとでも成長が見られれば素直に「すげーじゃん!」と言えます。「やるなぁ!」「へぇぇぇ」「ぶっちゃけ、期待してなかったけど、参ったなー」と言えます。その時の得意げな顔がまたカワイイのです。

 うわべのお世辞のような褒め言葉よりも、子どもの目線で付き合いたいと思っていますので、こんなことになります。褒めるより、驚いてあげる。これが良いことだと思います。
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