【プレゆる中】中学受験生になる前の下ごしらえ②

小学校4年生まで(だけではないけれど)には、受験生になる前の下ごしらえの2つ目として、「食事」に気を遣ってあげて欲しいと思っています。意外にも、食事や「食」については社会などで問われることもありますし、特に地理の学習などでは特産物等々でも学習のトリガーになることが多々あります。

それだけではなく、実際に質の良い食事に切り替えて、子どもの体調や学習の冴えが全然変わるというケースも目の当たりにしたことがあります。全てこうしろという話ではありません。でも、子どもたちが、自分の食べているものに意識が向いたり、どこかでこれを食べてみたいと思ったりすることは、栄養学的要素に加えて、文化的教養にもつながりますよ、というお話です。

①食べられないものばかりはNG(アレルギーは除く)

アレルギーがひどい子というのは時々見かけます。以前、食べられるものが米と一部の野菜のみで、肉も魚も小麦粉も蕎麦粉も果物類も全部ダメっていう子がいました。何を食べているの?って聞きたくなるのですが、そりゃ体質だから仕方がないんでしょう。本当にお気の毒でした。合宿では、親御さんが9食作ったご飯を冷凍して送るので、毎回解凍して食べさせて欲しいと言われたのですが、流石に合宿参加は見合わせていただきました。万が一の対応は出来ないので、申し訳なかったのですが…

ただ。それとは違って、「好き」「嫌い」がはっきりしている子が結構います。合宿や団体行動をすると、キャベツの千切りを丸々残す子、トマトを残す子、魚を残す子など、本当に多く見かけました。食べられないわけではありません。「やだー」「美味しくなーい」そういう理由です。

冷たいようですが、合宿中、そういう子には「食事は栄養補給の時間なので、アレルギー以外の理由なら食べなさい」と言います。友達を意識して、残すのが楽しくなってしまっているケースもありますので、「ふざけるな」と言うと、すんなり食べられたりすることも多いものです。私も苦手な食材はありますが、おかずの大半を残すような失礼を許すようなことはしません。ご家庭の指導、重要です。

②お菓子ばかり食べていて、食事が入らなくなってしまっている

これも以前の合宿で、大量のお菓子を持ってきてずっと食べ続けていた子がいました。基本的に「自律」が求められる桜学舎なので、合宿中に持ってきてはいけないものの制限はありません。ゲームでも漫画でも持って来れば良い、でもきちんと全てをこなせない場合は雷が落ちる、そういうシステムになっています。その子、お菓子の食べ過ぎでご飯が食べられなくなっていましたが、これはかなり叱られました。その後、いろいろ事件が起こりましたが、大変だったのは今でも覚えています(笑)

そういえば、「あいつ、カフェインっていうヤバいの飲んでるんですよ…」ってチクリが入って、一瞬焦った子もいました。一体どんなヤバいもの飲んで自慢してるんだか… 違法薬物だったらどうしよう… なんて本当に心配して親御さんにおそるおそる尋ねたら、「最近カフェオレに凝ってるんです、あの子」って言われて、もう、腹がよじれるかと思うほど笑い転げたことがありましたが(笑)

子どもが何を食べているのか、自律していられるのか、そういうところはしっかり親御さんが関心を持って欲しいところです。「何でそれ、親御さんが知らないの?」ってならないように注意が必要です。

③規則正しい食事と栄養バランスを考える

これまた以前、とてもバランス感覚が悪い子がいました。根本的には出来ない子でもないのに、何だか冴えない。いろいろ話をしていくうちに、「あれ?この子、食生活おかしいぞ?」と気付きました。

その日の朝食。
菓子パンにふりかけご飯という組み合わせで食べていたのです。それって、炭水化物だけだよね? 特に意識して炭水化物を食べさせるわけでもなし、なかなか食べない朝食をせめて少しでも食べさせようという親御さんの努力でもなく、単に「お腹を満たせば良い」という組み合わせだったようで、他の日の朝食を聞いても、甘いパンにお菓子、ご飯ふりかけや明太子だけみたいな、とにかく栄養バランスなどは考えられていないものでした。

気になってさらに聞くと、晩ごはんも早い時間に食べる時もあれば、遅くなってしまうこともあったり、家で食べたり親戚の家で食べたり、お弁当で済ませたり、とにかく不規則。

この子、合宿に来たら、突然学習力が上がりました。冴えていますし、できることも急に増えました。そりゃそうです。決まった時間にバランスの良い食事をしっかり食べて、決まった時間に寝る。本人はふだんは落ち着きがなかなか持てなかったと後年語っていました。

その子もすでにいい大人。自分で対処ができるような年齢になってから、「私んち、ヤバかったですね」なんて笑って話してくれましたが、頭の成長以外でも、やっぱり栄養バランスは考えたいところです。

④食べ物に対する意識を高めることが大事

これも合宿中の話。必ず1食、夕食にBBQを入れるようにしています。みんなでお肉や野菜を焼いて食べるという時間を設けるのです。勉強ばかりの合宿での数少ないアクティビティとしても大事な時間でもあるのですが、それ以外にも「食についての意識を高める」という意図と、「自然にその子の食生活を窺い知る」という意味も持っています。

都会の子は、本当に食物を「人工的に作られた生産物」としか思っていないところがあって、毎年ホテルのオーナーさんから叱られる子がいます。これが都会っ子なんだなぁと思うのですが、食べるものを「作る」という行為から遠く離れているが故に、全然その実感がないのです。例えば肉が動物の肉で、生きていたものを殺して食べているという感覚がないのです。1年かけて栽培してきた植物を摘み取って、ようやくお腹に入れることができるという実感がないのです。

以前。BBQが終わりに近づき、「食べないものをまとめなさい」「ゴミは袋に入れなさい」と指示をされたら、食べ残しの肉や野菜を全部ゴミ袋に放り込んだ子がいました。これは烈火の如く叱られましたが、「だって、食べないものだからゴミだ」と言ったのです。一体どういう教育を受けてきたんだ?とオーナーさんは激怒(笑)手をつけていない食材をゴミと言って捨てる… これが家庭教育の差です。

残念ながら、こういう子で成績のいい子は見たことがありません。逆ですね。お勉強ができる子は、こういうことへの意識も高まっているし、判断力が高まっているのです。だから手をつけていない食材をゴミ袋に放り込むようなことはしないんでしょう。

学校でも「食育」などが盛んのようですが、まずはこういう足元からじゃないかと思います。

⑤お米しか食べなかったり、見慣れぬものを食べない

食は重要な「文化理解」でもあります。国内でも海外でも、見知らぬ土地で見知らぬものを食べるのが旅の醍醐味でもあり、一番の問題点でもあります。私は中学2年生の時にアメリカ旅行へ2週間行きましたが、やはり一番大変だったのは食でした。パン食、洋食、ハンバーガー食に耐えきれず、9日目のサンフランシスコでチャイナタウンに行き、米を食わせてもらってようやく復活した記憶が今でも鮮明に残っています。

私の弟も、大好きな北欧に何度か行っていますが、やはり苦しかったのは食だと言っていました。私が16回もマレーシアへ足を運べたのは、食文化が合ったから。食べ物が合わないのは本当にキツイ。では、日本食を食べたのかといえば、さにあらず。現地人の食べ物を食べました。日本人のほとんどいない店で、現地の人が食べるものを食べたのです。蛇もカエルも、よくわからないピャンピャンミーも(笑)

生徒たちを見ると、「オマエ、米しか食ってねーじゃん!」って子がいます。「これ、何ですか?」と手をつけないものがあって、見ると「ユウガオの煮物」「山菜のおひたし」 見たことがない食材は手をつけもしない… じゃぁお子様メニューなら食えるのかと思いきや、メンチは嫌いだ、煮魚は嫌いだ、卵は食えない、何なんだよ?(笑)

食は文化。食べたことがないものを、トライしてみて初めて新しい美味しいものを知るわけです。

ウニも食えない、鮑も食えない、エビもカニも食えない…
「大人になったら、割り勘で寿司屋に行こうな!」
と私に笑われる子もいますが、「後学のため」にいろいろなものを食べてみることも「知識欲」として重要なことだと思います。

⑥大人の都合で振り回さない

以上のことを、「大人の都合で振り回さない」ということもかなり重要な要素だと思います。「後学のために」と言いましたが、これは実は我が母親の口癖。

我が家は、超出不精かつ外食を一切しない父と、そのおかげで食に対する知識がほとんど「NHK今日の料理」で満たされた母で構成されていました。母はそんな父と、腹ペコ男子2名を満たすために、本当に頑張ってくれたと思います。むしろ母の人生って「この、野郎3人の腹を満たすことが全て」だったのではないかと思うくらいで、90歳の今、申し訳ないなぁと思う次第なのでありますが、外食にすら連れて行かない父への反動だったのか、私が「これ、何?」と興味を示したものを買って試してみるということを多々してくれた記憶があります。

今でも覚えているのは「ナマコ」 こんなものをみたことがなかった私は、魚屋の店先で「食べてみたい」と言い出し、母は「後学のため」と一つ買って、魚屋に調理法を聞いて、酢の物にしてくれました。

いろいろ食べさせてくれたり、私の望みを聞いてくれたりしましたが、私の興味のスピードはどんどん上がり、父母が対応できなくなってきたのが小学5年生あたり。「あれ食べたい」「これ知らない」が高じて、「あそこへ行きたい」「ここへ行きたい」が始まって、父母がモタモタしているうちに、「もう自分達で行かせて欲しい」と言い出し、勝手に旅行を始めたのがこの頃でした。

一番最初に友達だけで日帰り旅行をしたのは、茨城県。取手駅から関東鉄道常総線に乗って下館まで。途中、水海道やら大宝やらへ寄って、さらに予定を違えて小山回りで帰ってきたのでした。ワクワクの冒険でした。以降、もう自分達で旅に出ることになり、興味に従って高校・大学時代まであちらこちらへ出かけました。

また、いろいろなところでいろいろなものも食べ、またいろいろな方にいろいろ教えていただき、ご馳走になり、いろんな方のお供をして、朝から深夜まで、いろいろお付き合いもさせていただきました。親に習うよりも、社会の大先輩にお世話になることがほとんどでした。

父は完全な下戸でしたし、居酒屋すら行けない人。一人で飲食店に入れすらしませんから。

ただ、もし両親が、私の自由や興味を制限する人間だったら、私の知識や学びはかなり少なかったことでしょう。何でも役に立つだろうから、多少失敗しても馬鹿じゃないから何とかするだろう、自分でできるようになるだろう、そう思って、遠くで見守ってくれたからこそ、私は自由に活動し、多くの知識を得て、楽しく生きてこれたのだと思っています。

受験勉強だって、学校の学びだって何だって同じです。大人の都合で、あれは行かせない、あれはやらせない、あれはダメだこれはいい、そういう選別を前面に出してしまうと、やはり子どもはその通りの色にしか染まっていきません。

受験勉強生活が始まる前に、「興味の種をたっぷり抱かせる」ことが何より重要ですし、「学ぶこと、知ることって、何と楽しいことなんだろう!」としっかり意識させること。これに失敗したまま受験生活に入ると、スパルタで叩き込んでも入らないので地獄のやりとりが続くことになります。

最後は「食」から少し離れましたが、ご参考まで。

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